【日本の大学の選び方】
理学部の場合、数人の天才・秀才が入学すればいいと言われています。突出していない限り、博士に行くのも難しいし、専門性を活かす職には就き難いです。卒業生の進路としては、企業ではなく、高校教師や塾講師などになっている方が多く見られます。しかし、理学部は基礎的研究を行い、深く深く勉強し、本質に迫る研究を行います。ノーベル賞を取りたければ、断然理学部です。一方、工学部は、主に開発よりの研究を行うため、企業が卒業生を重宝します。就職先でみれば、ダントツに工学部の方が良いです。偏差値だけで選ぶと、将来「ん?自分のやりたいことと何か違う?」ということになりかねません。
少しでも興味のあることがあれば、大学院の情報もしっかりと集めた方がいいです。日本の大学院入試は、同じ大学の学部生が入学しやすい傾向にあるからです。大学院時の研究室選びで、大きく進路や就職先が変わります。世界大学ランキングや科研費データベースを見れば、どの大学の分野が強いのかがすぐに分かります。
日本の分野別大学ランキング
KAKEN
【海外の大学の選び方】
米国では、やりたい研究が定まらない学部生の多くが、大学ランキングで大学院を選んでいました。一般的に、大学ランキングが高い大学を卒業している方が、就職先が良いです。最近まで東大がアジアでランクトップだったので、東大には多数のアジアの学生がいます。もし大学ランキングで選ぶのであれば、評価基準を知っておいた方がいいと思います。2015年現在、世界の大学ランキングで、日本の大学は全て40位以下となっています。主な評価項目として、「研究力」は、研究費の収入、論文数、natureの本数などが指標となっており、「研究のインパクト」は、被引用件数が指標となっています。「教育の質」は、博士学位授与数、大学の収入、ノーベル賞などです。つまり、学部ではなく、大学院が主に評価されています。
欧州はそれほどでもないですが、米国では、学部と大学院に大きな隔たりがあります。学部と大学院で同じ大学に進むと、lazyだとみなされます。大きな引越しをしたくない人でも、ハーバードの学部卒なら、大学院をMITに、バークレーの学部卒なら、大学院をスタンフォードに進んだりします。中には、学部生が毎日パーティばかりしているためにビール大学と呼ばれる一方、大学院が世界トップクラスの研究をしていて、世界中から優秀な大学院生が集まる大学もあります。日本のように、学部も大学院も東大というケースは、米国では少ないです。
海外の大学(学部)は授業料が高く、私大では年間400万円くらいします(州立なら数十万円)。トップスクールでないなら、わざわざ日本から行く対象としてはどうしても魅力が下がってしまいます。一方、大学院では雇用関係にあるので、授業料が無料で、保険代も払ってもらえ、かつ月20万円の給与がもらえます。日本で修士や博士に進みたいけど、お金がないという方は、欧米の大学院を一考してみてはいかがでしょうか。
大学申請に必要なもの(Jenn)
教授と受験前のコンタクトの取り方
米国の大学ランキング
MITなら就職先に困らない?
【大学院の選び方】
日本でも海外でも、大学院に入る際のにお勧めなのは、大学教員で選ぶことです。この人と一緒に仕事がしたい!と思える研究室に行くのがベストです。ハーバードが有名だから、東大を出ると周囲に褒められるから、というだけの理由で大学院を選ぶと、不毛な大学院生活が待ち受けています。やりたい研究ができない、興味のある就職先から内定がもらえない、ということになってしまいます。大学院で失敗した!ということがないように、大学名ではなく、世界中の教員・研究者に目を向けてみてください。
- 居室があるか?個々のPCがあるか?実験装置などに気軽にアクセスできるか?
- 卒論などの執筆の添削をしてくれるか?文章の形だけでなく、内容の指摘をしてくれるか?
- 学生が学会発表をしてるか?ラボ内で発表練習をしているか?賞を取っているととても良く、博士課程やポスドクがいると尚良い
- 直近5年間で論文を何本かいているか?どんな論文か?corresponding authorか?
- 研究予算の規模は?日本で一人50万円以上あればとても良い(学生5人なら基盤B、学生10人なら基盤Aなど)
ただ、学会や講演、授業で素晴らしい発表をしていても、実際に所属してみると、内部の人間には社会性を逸脱した行為をするアカハラ教員がいるので要注意です。研究成果だけでなく、人間性も見た(研究室の学生に直接聞いた)上で選ぶのがいいと思います。たとえ研究成果が突出していなくても、教育熱心で国際的に社交性のある教員に当たると、卒業後に大きなキャリアアップが望めます。もしアカハラ研究室に行ってしまった場合は、大学側に訴える前にまずはその研究室を離れましょう。「あの教員に嫌われたら先がなくなる」と思って離れられない方もいるかもしれませんが、そんなことはありません。他の教授でもいいので、推薦があれば海外を含む他の研究室に移れます。普段から学会や大学内でネットワーキングに努めておくといいです(ただ仲良くなるのではなく、よく勉強している、研究熱心であることを知ってもらうことも重要)。そして、困ったときは気兼ねせず相談しましょう。
海外大学院で全落ちしないために(Atlas)
社会人PhDの出願記録
大学院で成功する方法
どうしたら博士って呼ばれるの?
海外大学院で全落ちしないために(Atlas)
社会人PhDの出願記録
大学院で成功する方法
どうしたら博士って呼ばれるの?
【想い】
高校生も、より興味のある分野で突き進んでいくべきだし、大学側もモチベーションの高い学生を確保し、しっかりと育てて行くことが、日本の国力増進に繋がると思います。優秀な人材が能力を最大限発揮できるように、企業側も、学生を雇う際の判断基準(コミュニケーション能力も大事ですが、研究部門はそれ以外も・・・)が重要になります。やる気のある高校生が、優れた環境を有する大学で知識と技術を培い、企業で能力を発揮すれば、最高の社会が形成されると思っています。