2016/12/08

ハラスメントを受けた場合の対処策

大学の研究室は狭い空間であり、大学教員とは、上下関係がある中で何度も顔を合わせます。何年も過ごしているうちに、気が合わなかったり、恋愛感情や嫉妬心が沸いたりして、ハラスメント(パワハラ・アカハラ・セクハラ)に発展することがあります。学生側は、卒業や推薦に関わることもあって、教員からのハラスメントに我慢してしまうかもしれません。しかし、ずっと我慢し続けることは難しいです。中にはメンタルがやられてしまう場合もあります。


学生から学ぶ機会を失うことは、決して許されることではありません。そのため、学内には大学とは別組織からなる、第3者による倫理委員会が設けられています。しかし、大学によってはうまく機能しておらず、無断で相談内容を加害者(教員)に打ち明けてしまう事例があります。その教員は、ハラスメントを起こすような人間ですから、自分を不利な立場に追いやる相手に何をするかは分かりません。報復や嫌がらせ、指導放棄などが起こりえます。結果的に、教員は夏休み期間のみ停職という処分だけで、一方、学生はメンタルをやられて休学し、その後も就職できない、と事態になりえます。そんな中、学生側も適切な手順で対応をすることで、この一方的な権力関係をフラットにすることができます。


下記に、手順例を記しておきます。

0. ハラスメントについて話せる相手をみつける

独りで教員と戦おうとしないでください。人に話すのが辛い場合(特にセクハラ案件)がありますが、それでも打ち明けられる相手を探してください。親でも友人でも構いませんが、ラボ内よりもラボ外の人の方がお勧めです。指導教員が懲戒解雇される場合、ラボの先輩や後輩にも心労をかける場合があり、必ずしも全力的に味方になってくれるとは限らないからです。

1.証拠を集める

指導教員とのやり取りは、なるべくメールや手紙に切り替え、どうしても電話や話し合いが必要な場合には、必ず録音をしましょう。特に教員の部屋に二人だけになる時は、証拠を残しにくいので要注意です。録音が取れなかったときは、日付と何を言われたか、というメモを残しておきましょう

2.ハラスメント対策室に相談する

まずは大学の倫理委員会にあげるのが正当な手続きとなります。ただ、先にも述べたように、効果はあまり期待できません。学生側がヤバイ人間である可能性もあるからです。教員と学生のどちらがヤバイかを示すためにも、証拠が必ず必要になります。

その後、対応方法としては、(a) 学生の名前を出さずに相手に厳重注意、(b)学生の名前を出して、詳細な事件内容と共に審議会を通して相手に処分を下す、という2通りが考えられます。(a)の場合、教員に厳罰は下されません。注意で終わります。教員がマトモでない人間の場合、反省などせずに、報復などをしてくる恐れがあります。(b)の方が効果的ですが、セクハラ案件などでは言いたくないこともあるかと思います。しかも、勇気を出して言ったところで、大学内だけでは大きな厳罰は期待できません。米国では、一発で辞職になりますが、日本では、2か月程度の停職でしょうか。自分の他にも、後輩などに同じ過ちを繰り返す可能性もあり、どうしても止めたければ、ステップ3に進んでください。

副指導員制度があれば、副指導教員に話しておくことで、自身の逃げ道(ラボの変更)を用意できるかもしれません。ただ、副指導教員はハラスメントに疎い可能性もあり、指導教員に伝わってしまう恐れがあることは忘れないでください。できれば、普段から学会などに積極的に参加して、他の大学の教員とも交流しておくと、より良いかと思います。

3.警察に通報

警察に相談しても、すぐには対応してもらえません。証拠が必要です。できれば、事前に弁護士を見つけ(20万円程度)、対策方法を聞いておくと確実です。ラボが閉鎖されることもありますが、学生が気にしなくて大丈夫です。教員のハラスメントは、雇用した大学の問題・責任です。ラボの他の学生らのことは、大学が対応します。ハラスメントを受けている時は、自分のことを第一に考えてください。


もし、学生と教員の間に恋愛感情が生まれた場合、どうするか。指導に依怙贔屓が生じたり、恋愛関係がもつれた場合に嫌がらせに発展したり、する場合があります。この事態を避けるためにも、恋してしまった教員は、「私たちは恋愛関係にある」ということを他の教員に正直に伝え、学生の指導教員を変えてもらいましょう。


ハラスメントを避けるには、どうするか。なるべく、二人だけでいる環境をなくしましょう。教員の部屋で話し合う際は、必ずドアを開けておきましょう。先輩や後輩に付き添ってもらうのも良いかと思います。